代々木アニメーション学院は、誰でも1度はその名前を聞いたことがあるのではないでしょうか?
では、代々木アニメーション学院で、声優の勉強はどの程度できるのでしょうか?その実績はどうなのでしょう?
今回は「代々木アニメーション学院」の声優コースについて紹介します。
Contents
「代々木アニメーション学院」の概要
出典:代々木アニメーション学院公式サイト
「代々木アニメーション学院」は大変有名な「アニメーション」や「マンガ」に関する専門学校で、声優科がある専門学校の先駆けと言っても良いでしょう。
一時期かなりの経営悪化で倒産しています。
経営者が変わり、最近ではアミューズメントメディア総合学院(AMG)のようなライバル校も増えてきたので、以前のような「声優の専門学校と言えば代々木アニメーション学院」という感じではなくなってきました。
ただ、プロの声優で代々木アニメーション学院出身という人は思いのほか多いです。
ほとんどの人は代々木アニメーション学院を卒業後にもう一度プロダクション付属の声優養成所に通いなおしています。
以前は現在のように専門学校から直接声優事務所に所属するルートが大変少なかったということもありますし、ある程度仕事がある声優プロダクションが限られていたということもあります。
また、代々木アニメーション学院出身で代々木アニメーション学院と関係のあるプロダクションに直接所属した人もいらっしゃいます。
ですので、よく言われているように「代々木アニメーション学院=ビミョー」というわけではなく、「プロへの道は自分で切り開くから声優としてのスキルを学ばせてもらう場」として考えれば、卒業生が全体的にうまい人が多いことからも、テクニックを学ぶという面では非常に優秀な学校とも言えるのではないでしょうか。
「代々木アニメーション学院」で声優を目指す学科
代々木アニメーション学院には、声優を目指すためのコースが複数あります。
まずオーソドックスな「声優タレント科」
メインは歌だけれども声優としても活躍できるスキルを身につけるための「声優アニソン科」
歌とダンスのレッスンが半分以上ある「声優アイドル科」
全日制の他の科とは違い声優になるためのレッスンが週一日のみの「週一コース」
高校卒業資格が得られる「高等部」があります。
ここからはそれぞれコース別にご紹介していきます。
「声優タレント科」
基本的に、声優を目指す人はだいたいこの「声優タレント科」になります。
声優タレント科があるのは、東京・大阪・名古屋・福岡・札幌・仙台・広島・金沢校です。
二年間の全日制で、一般的な声優養成所とは違いアフレコ実習の回数が大変多いです。
これだけのレッスン量があれば自分に回ってくる回数やもらえるアドバイスも多いと思いますし、器用な人であればかなりアフレコ慣れもしますから、相当テクニックも身につくのではないでしょうか。
実際声優養成所アフレコレッスンはメインの役に当たらなければ、それほどしゃべる機会は少なかったりもします。
また、学校内に本格的な専用のアフレコスタジオもあり、設備の面でも非常に恵まれた環境でレッスンを受けることができます。
また、声優事務所などが集まる「事務所説明会」や、年2回の「声優事務所ドラフトオーディション」があります。
・2年間学費等総額:230万円
・1年目レッスン内容:基礎トレーニング・マイクワーク・ナレーション(朗読)・アニメアフレコ・オーディション対策(現場でのオーディション対策ではなく、事務所に所属するためのオーディション対策)・感情解放
・2年目レッスン内容:サウンドドラマ・外画吹替・キャラクターボイス・ボイスサンプル収録・舞台発表&それに伴う稽古・つんく♂総監修エンターテインメント力向上メソッド
「声優アニソン科」
声優アニソン科があるのは、東京・名古屋・大阪・福岡・広島校です。
モデルイメージとしては水樹奈々さんのようなケースを目指したい人向けなのかなと思います。
水樹奈々さん自身も代々木アニメーション学院出身なことは有名ですが、もともとは演歌歌手を目指されていたそうで、声優事務所に所属されてはいますが声優の仕事よりは実は歌の方が本職です。
そういった、歌がメインで声優の仕事もしたいという人にはうってつけのコースになります。
声優タレント科同様、声優事務所などが集まる「事務所説明会」や、年2回の「声優事務所ドラフトオーディション」があります。
また、学校で常時JOYSOUNDのカラオケ機材が使用できる点や、歌手オーディションのシュミレーションがあり、オーディションに勝ち抜くためのレッスンもあるのが魅力的です。
・2年間学費等総額:230万円
・1年目レッスン内容:ボイトレ・ボーカルテクニック・ボーカルマイクワーク実習・課題曲実習・LIVE実習・つんく♂総監修エンターテインメント力向上メソッド・ナレーション
・2年目レッスン内容:ボーカルオーディション対策・ダンス&ステージング・LIVE発表会・アニメアフレコ・外画吹替
「声優アイドル科」
声優アイドル科は、声優アニソン科よりも、より歌い手さんよりのコースです。
声優アイドル科があるのは、現在は東京校のみです。
歌やルックスだけで歌手になるのは相当難しいですが、声優など別の何らかの特技を掛け合わせることにより、ほかの人との違いが出てきますし、音楽ビジネスが下降している現在、声優アイドルというのは非常に有効なルートだと思われます。
代々木アニメーション学院がマネージメントするアイドルグループ「1年C組」のオーディションがあり、選抜されれば在学中にプロデビューが可能です。
おそらくアフレコなどのレッスンは声優タレント科の先生がされるかと思いますが、ホームページで紹介されている講師陣は歌やダンスの先生のみということからもわかるように、メインは歌やダンスだと言えます。
・2年間学費等総額:230万円
・1年目レッスン内容:ボイトレ・ダンス基礎・ステージメイク・ステージング・ファッションコーディネイト・LIVE実習
・2年目レッスン内容:コーラスワーク・ボーカルテクニック・MC実習・つんく♂総監修エンターテインメント力向上メソッド・キャラクターボイス・外画吹替・LIVE発表会
「週一コース」
「週一コース」は、「ベーシックコース」と、「声優ジュニアコース」に分かれています。
(ベーシックコース)
半年間だけのコースで、レッスンは週に一日なので学校に通いながら、または社会人であっても通えるコースになっています。
レッスンは、東京校・大阪校・名古屋校・福岡校・札幌校・ 仙台校・広島校・金沢校は水曜19時~21時、東京校・大阪校・名古屋校・福岡校は日曜10時~12時、13時~15時の中から選べます。
・総額費用:15万円(税込)
(声優ジュニアコース)
1年制で、東京校・大阪校・名古屋校・福岡校で開講している小学生・中学生向けのコースです。
レッスンは土日なので学校に通いながら年齢が若いうちからレッスンを受けることができます。
・総額費用:82,000円(税込)
実際、この「週一コース」だけで声優になることは難しいですが、ホームページにもあるように、「声優になりたいというほどでもないけれども、一度でいいからアフレコをしてみたい!」といった人は意外と多いと思います。
そのような感じでちょっとした習い事感覚や趣味として楽しむというのもそれはそれでありなのかなと思います。
レッスンではお友達もできて学生さんには良いのではないでしょうか。
また、社会人の方も、「声優になりたいけれど本当にそれで良いのか迷っている、踏み切れない」という人には、一度こういったところに通いながら、どういったことをやっているのか体験してみて、ご自分の向き不向きなどもみながら考えるというのもありだと思います。
他の養成所でもメインクラスとは別にちょっとだけやってみるというようなクラスがあります。
でも、代々木アニメーション学院の場合は、専門学校でスタジオなどが完備されていることと、東京や大阪以外の全国主要都市にも学校があるので生活を変えるリスクもなく、ちょっとだけやってみたい、試してみたい人にはとても向いているのではないかと思います。
「高等部」
これまで紹介したコースの他に「高等部」があり、全日制で、高校で学ぶ基本学科に加えて声優としてのスキルを学べるコースになります。
もちろん専門的なことを学ぶ時間が含まれるので、普通の高校に比べれば基本科目の授業は少な目です。
卒業時には高校卒業資格が与えられます。
これは個人的な考えですが、登校拒否などで困っている親御さんはこういう所もあるよとすすめてみても良いのかなと思います。
趣味が同じ人が集まれば友達もできやすいですし、朝が苦手なお子さんでも10時半からの授業なので通いやすいと思います。
ちなみに、午前中は基本科目、午後は専門科目の授業になり、朝が遅い分下校時間は17時40分となっています。
代々木アニメーション学院のメリット
一番の良い点は、なんといっても東京・大阪以外に学校があることです。
地方の人は、最終的にはどうしても東京に出なければならないのですが、まだ海のものとも山のものともわからない段階から、いきなり東京に出るのはハイリスクで勇気がいることです。
ですので、特に声優の養成所や専門学校の少ない北海道や九州の人は数少ない選択肢になるのではないでしょうか。
意外と公にはなっていなくても、東京の養成所などに入る前に、地元で何かしらやってきている人は、プロの中にも多いので検討してみるのもありだと思います。
もう一つ良い点は、専門学校なので最終学歴として「専門学校卒」と言えることです。
学校名はちょっと言いにくいかもしれませんが、立派な学歴になります。
また、充実した設備でレッスンを受けることができますし、アフレコのレッスンもかなりのハイペースであるので、テクニックは身につくと思います。
直接プロダクションに所属するということを考えなければ、プロになったときにとても助かるのではないかと思います。
それと、アニメーション制作に関する科がたくさんあることから、コースを超えていろいろな人と友達ができる点はとても魅力的です。
もしかすると業界に出てから貴重な人脈となる可能性もありますし、声を吹き込むだけではなく、それ以外の制作過程の話を聞いたりすることは非常にためになるかと思います。
代々木アニメーション学院のデメリット
代々木アニメーション学院のデメリットは、専門学校卒業後は養成所に通いなおす可能性が高いことです。
事務所に直接所属できる場合もあるようですが、代々木アニメーション学院は入学時にあまり選別をせずにたくさんの生徒を入れるので、生徒さんそれぞれのモチベーションも人によって違いますし、「ぜったい声優になるんだ!」という気持ちの人ばかりではないので、統計をとれば直でプロになれる確率は少ないと思って間違いないです。
代々木アニメーション学院も、アミューズメントメディア総合学院(AMG)のように、今後、大手プロダクションの預かりに直接なれるというルートはできないのかと期待したいところです。
しかし、今のところアミューズメントメディア総合学院(AMG)のように、有力なプロダクションの預かりに直接なるというルートはちょっと厳しいのかなと感じています。
その理由は次のとおりです。
・代々木アニメーション学院に協力してプロダクションが得られるメリットが少ないこと
・以前と違い代々木アニメーション学院制作の番組などが少ないこと
・以前に代々木アニメーション学院出身の所属声優が流れていた事務所が、ギャランティーの面で(言い方が悪いですが)抜け駆けで安くしていたことから、他の声優事務所といろいろな問題があったこと
プロへの近道は声優養成所に通うこと
代々木アニメーション学院は、専門学校(無認可)です。
以下の記事で詳しく説明してますが
→声優養成所・専門学校・スクールの違いは?メリット・デメリットも解説
専門学校は、声優になりたい!という本気度が人によって異なり、「他の職業がいいかも」と卒業後にそのまま就職する人が多いのが現実です。
それに比べて、声優養成所は、本気度が高い人が多く、さらに一定レベル以上の人が入所してくるので、モチベーションが高い人達の中でレッスンすることができます。
また、養成所は事務所付属であることが多いので、養成所を出た人の方がプロ声優になる確率が高くなります。
本気でプロの声優を目指すなら、その近道は声優養成所といえます。
※料金については公式サイトから資料請求してご確認ください
おススメの声優養成所
最初から養成所に通うならおススメしたいスクールを紹介しましょう。
日本ナレーション演技研究所(日ナレ)
「日ナレ」はアイムエンタープライズなどが受け皿となっているので、自信をもっておすすめできる養成所です。
6つのプロダクションにはそれぞれ個性がありますが、メインのアイムエンタープライズや、最近力を持ってきたヴィムスなどで考えると、アイドル声優になりたい人や個性の強い人、マルチに活躍したい人向きだと言えます。
気になる点は、所属オーディションがかなり難関であることで、おそらく他の養成所の比ではないと思います。
日ナレは養成期間が他に比べて長いですし、留年も入れると最大で6年間ありますが、飛び級制度もあるので、売れている人の中には1年で事務所所属になっている方もいます。
能力さえあれば早くプロになれることは非常に魅力的です。
【ジャンル】声優養成所
【場所】本社は東京(スタジオが全国に17箇所(代々木、お茶の水、立川、町田、池袋、大宮、所沢、柏、千葉、横浜、大阪、難波、天王寺、神戸、京都、名古屋、仙台
【期間】1年~
【費用】
・週1回クラス:入所金:10万円(仙台校は5万円、高校生は5万円)/年間受講料:4月生(4月から翌年3月まで)20万円
・週2回クラス:(お茶の水校/名古屋校/大阪校)入所金:10万円(高校生は5万円)/年間受講料:4月生(4月から翌年3月まで)36万円
・週3回クラス:(代々木校)入所金:10万円(高校生は5万円)/年間受講料:4月生(4月から翌年3月まで)50万円
※料金の詳細は公式サイトから資料請求してご確認ください
【提携プロダクション】 マック・ミック、原オフィス、アトミックモンキー、プロースト!、スリートゥリー、トライストーン等
\資料請求は無料/
インターナショナル・メディア学院
インターナショナル・メディア学院は、堀川りょうさんが学院長をされており、ここ数年右肩上がりで急速に拡大している養成所です。
IAMエージェンシーやアズリードカンパニーを受け皿に持ちます。
あまり声優養成所がない地方にも分校があるので、地方の人にはおすすめで、IAMエージェンシーは、アニメやゲーム、外画や舞台などのお仕事があります。
また、インターナショナル・メディア学院は他の養成所にはない、時代に合った試みを多く取り入れており、今後どう成長していくのかかなり注目の養成所といえます。
【ジャンル】声優養成所
【場所】全国に19箇所(東京、札幌、仙台、八王子、横浜、秋葉原、柏、宇都宮、大宮、新潟、長野、金沢、浜松、名古屋、大阪、高松、岡山、広島、福岡)、海外(ハワイ校/香港校)
※その他、オンライン校が全国にあります
【期間】2年間
【費用】月謝制(入所金:108,000円、月謝:ベーシックコース月謝43,200円 年間518,400円+108,000円=626,400円/アドバンスコース(2年目)月謝54,000円 年間648,000円)
※料金については公式サイトから資料請求してご確認ください
【提携プロダクション】 IAMエージェンシー、アズリードカンパニー
オンライン説明会・LINE相談会も実施中
81ACTOR’S STUDIO(81アクターズスタジオ)
81ACTOR’S STUDIOは、81プロデュースが運営する声優養成所です。
自社スタジオがきちんと稼働して、キャスティングに有利に働くのであれば、81ACTOR’S STUDIOはアニメのお仕事がしたい方におすすめと言えます。
レッスンでも、81ACTOR’S STUDIOは実際のスタジオを使用したアフレコレッスンなど実践にそくした授業があります。
81プロデュースにはアニメやゲームのお仕事以外にも、ナレーションやボイスオーバーなど幅広く仕事があります。
ですので、「アニメの仕事がしたくて声優になったけれど、実はナレーションの方が向いていた」という場合も方向転換が可能です。
本人の努力や運次第ではありますが、歳を重ねてアニメの仕事が減ってきたとしても、81プロデュースなら他にもいろいろ仕事(ナレーションやボイスオーバーなど)があります。
他のプロダクションより、声優として長く生きていける可能性が高いのは大きなメリットです。
【ジャンル】声優養成所
【場所】東京都
【期間】1年間
【費用】
・本科:入所金:200,000円/年間授業料:640,000円/年間損害保険料:15,000円 合計855,000円
・週1クラス:入所金:120,000円/年間授業料:220,000円 合計 340,000円
【提携プロダクション】 81プロデュース
体験入所もあります
まとめ
代々木アニメーション学院に通っても、プロの声優になれる可能性は低そうです。
その理由は、アミューズメントメディア総合学院(AMG)のような、直でプロダクションのジュニア所属までいけるルートがないこと、直接ジュニア所属になれている卒業生はいるけれど、その人数が少なく確率が少ないことなどが挙げられます。
でも、養成所を経由してプロになって活躍されている人が多いということも事実です。
実力はまじめにやればきちんとつくのではないかと思います。
そして、北海道や九州のように、地方でほかに選べる選択肢がないという場合は、おすすめの学校とも言えます。
ただ、本気でプロを目指す場合の近道は、声優養成所に通うこと。
自分がどれだけ声優になりたい!と思っているか、その情熱の度合いによって、通う学校を選ぶとよいかもしれません。